砂に書いたアイラブユー
第1章
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 僕と奈々は海に来ていた。


 二人で住んでいる、日本列島でも南の外れにある田舎町の海岸だ。


「暑いね」


「ああ。でも少しは暑さが引いたかも」


「そう?あたし、まだまだこの暑さが続くと思うけど」


「大丈夫だよ。今ちょうどお盆だろ。お盆が過ぎれば夏も逝(ゆ)くから」


「だったらいいんだけどね」


 僕たち二人は砂浜に寝転がって、大の字になり、体を休める。


 日差しが幾分穏やかになってきつつあった。


 僕はふっと起き上がると、砂浜の焼けた砂に指で「アイラブユー」と書く。


 それも打ち寄せる波ですぐに消されてしまうのだが……。


 そして僕に触発(しょくはつ)されたのか、奈々も体を起こして、近付いてきた。

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