運命なんて信じない。
少し割れたウェンズの声です。
サリは慌ててシーツの下に本と紙切れを隠しました。
これは誰かを巻き込んでいい話では無いと思ったからです。
急いで平静を繕い、聞き返します。
「何?」
ドア越しにウェンズが言いました。
「何か腹減らね?パンかなんか買いに行かねぇかな――って」
買うっつっても物々交換だけどな――、と彼は続けます。
最初に会った時と同じ、マイペースな口調です。
(さっきあたしを説得(?)してた時とは大違いだなぁ。同一人物とは思えない……)
サリは、さっき勢いで貰った紅いマフラーを首に巻くと、本と紙切れをまたワンピースのポケットに突っ込み部屋から出て行きました。
ウェンズは、黒いローブを脱いで、紅いフード付きカーディガンを羽織っています。
ローブが邪魔で余り見えなかったけど、足は革のブーツを履いていて、左手首には銀色の細長いプレートがついたブレスレットを付けていました。
「んじゃ、行くか――」