太郎物語
「はいはい。頑張りますよ」



そう言って、俺は家の玄関に置いておいた収穫したての野菜を、涼に渡した。



そのとたん、涼は満面の笑みを浮かべた。



涼は、俗にいうカッコかわいい系男子。モテる男である。



だからこの笑顔を見た女子は基本、目が輝きときめく。



今日も例外ではない。通りかかった他校の女子高生が、振り返ってこそこそ話をしている。もちろん、涼のことである。



「いいな、おまえはモテテ。ま、もう暗くなるから帰りな。今日はありがとう」



その時、涼は思った。


(もててるのはお前だろ?俺はモテねーよ。嫌みか?)



親友の男、二人揃って鈍感野郎だった。



もちろん女の子は、どっちの男子のほうがかっこよかったかで話ていた。




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