不器用なLOVER
seventeenth relation
ミシンは思ったより嵩張って、

「おっ重い。疲れた…」

隣校舎1階から会長室のある5階まで運ぶのは大変だった。

泣きたくなる。

誰か、手伝ってよ。

その願いが通じたのか、

「晶ちゃん?何してんの?」

背後から声をかけられる。

振り向かなくても分かる。

「朋弥さんこそまだ学校に居たんですか?」

「へぇ〜、声だけで俺って分かるなんて愛だね?」

軽口を叩きながら回り込んだ。

「変なこと言わないでください」

手に重さが食い込んで、
千切れるように痛い。

「急いでるので失礼します」

一刻も早く下ろしたい。

けど…朋弥さんには頼みたくない

そんな思いで立ち去ろうとした
私の手から、

「何処まで?」

ミシンを奪い取った。

「あの、大丈夫です」

手を伸ばす私から逃げるように、

「顔真っ赤にして息上げてる、
好きな子見過ごせないっしょ?」

動き、歩き出した。

「朋弥さん…」

「透弥に怒られる?」

透弥さんは恐らく怒ったりしない
でも私が朋弥さんに申し訳なくて

「ならさ、今だけ俺が晶ちゃんに惚れてること忘れて良いよ?」

朋弥さんが笑顔を向ける。

「ありがとうございます」

私は素直に甘えることにしてしまった。

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