不器用なLOVER
約束って…。

【必ず晶にゴールするから、信じて待っててよ】

だよね?

「アイツ等競技中に会話してる」

周りも息を飲んで、最後の難題に取り組む二人を見守っていた。

この問題が終われば、
後はゴールまで一直線だから、
文字通りこれが最後の難題になる

お願い透弥さん…。

朋弥さんが先に飛び出した。

「おっ…朋弥の勝ちか?」

数歩遅れて透弥さんが駆け出す。

「まだ分かんねぇよ?
我が学園の誇る双壁の宮原対決だからな」

二人の速さは略変わらず、
なら、先に走り出した朋弥さんに分がある。

後、数m…。

結果を見届けられなくて…
強く目を閉じてしまう。

大歓声が沸き誰かがゴールしたことを告げた。

1位の人を迎えに行かなきゃ…。

そう思うのに、
目が開けられない。
足を動き出せない。

「そうゆうことかよ…」

朋弥さんの声が上から降って…、

隣に立ってることが分かり同時にそれは勝者を告げているのだと…

肩を落とした。

「だから言ったでしょ約束してるからって…」

私の頭に軽く手が乗せられて、

「信じてなかったの?」

耳元で囁いたのは、

「透弥さん…」

今直ぐにでも飛び付きたい衝動に胸がざわつく。

でも此処はゴール前で、
二人の頂上決戦の行方を見守っていた人々の注目を浴びたままだ。

なのに、

「必ず晶にゴールするって…言ったでしょ?」

誰を気にすることもなく引き寄せ

「お待たせ、晶」

抱き締める。

「見せ付けんじゃねぇっての」

朋弥さんが2位の列に呟きながら並んで行った。

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