不器用なLOVER
28th calculation
実行委員の人達も頑張ってたのは知ってるけど…。

一番尽力したのは、
透弥さんに間違いない。

生徒会長という立場からも、
理事長代理という立場からも…。

「これで再開出来ますね?」

それを口にもせず説き伏せ、
生徒等の目が変わっていく。

朋弥さんに、
振り返りもせずに言った。

「まぁ…再開はするだろ?
その為に上がったんだからさ…。問題はこれで終わらせるかだ」

朋弥さんが含みを持たせるのと、透弥さんが眼鏡を指で押し上げたのが重なる。

「最後に成功させるのは君達だ。そして彼等の功績を無にするのも君達だということだよ。
最も…朋弥の様に暑苦しい思いも彼等の様に配慮という名目の好感を抱かせるという邪念も、
僕には一切無い…」

そして次には、
辛辣な皮肉に耳を疑った。

「やりやがったアイツ…」

朋弥さんが頭を抱え屈み込み、

「又…、アイツ一人で悪者になるつもりだぜ?」

深い溜め息を吐く。

「僕の興味が在るのは宮原物産の後継者としてこの学園で残す殊勲それだけだから…。
例え体育祭や後夜祭が盛り上がらなかろうと…滞りなく終えてくれさえすれば構わなかったんだ…」

此処からでは冷然と話す透弥さんの表情が読み取れなかった。

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