不器用なLOVER
最後には有無を言わさぬ態度で、威圧する。

「宮原グループの損失はそれ以上に貴女方企業に影響を与えることを考えれば何が正しい選択かご理解頂けるはずだ」

これが日本のトップに立つ者の、貫禄なのだろうか。

誰一人言葉を発することもなく、透弥さんを見つめていた。

自分の倍の年齢の彼等を前に、
怯まず寧ろ圧倒し誰をも納得させてしまっていた。

その間にもグランドでは体育祭は続けられていた。

談話室の入り口で鎮座してから、何競技ぐらい進んだのかな?

微かに忍び込んできている曲目はまた変わっていく。

沈黙に包まれた空間には場違いなメロディーは流行りのJ-POPだった。

順調に行けばそろそろ最終演目の縦割りリレーの選手が集合する頃だ。

透弥さんはどうするつもりなの?

今此処で来賓の方を説得し続けていてはリレーには出場出来ない。

「然し、我々PTAを説得出来ても…教育委員会には何と納得させるつもりだね?」

PTA会長の発言に教育委員会側の使者が姿勢を正す。

透弥さんも静かに眼鏡を上げて、視線を移すと僅かに口角を上げ。

「問題有りません。
利害が一致している分余程楽に…ご協力頂けると確信しています」

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