不器用なLOVER
「いひゃいれす」

涙を浮かべて呟く。

「アンタ透弥様舐めてんの?
あの方が本気になられて出来ないなんてことが在る筈ないでしょ!信じてるなら最後まで信じなさいアンタが信じないでどうするの」

鉄ちゃんの予想外の励ましに、
目頭が熱くなる。

「ガキの間にしか出来ないこともあんのよガキは突っ走れば良い。周りに多少の迷惑ぐらい掛けてもガキなんだから当たり前なのよ?…後で返していけば良いのよ」

泣いちゃダメせっかくのメイクが崩れちゃう。

頭では分かってるのに…。

「誰に何言われてるのか知らないけどね、アンタの一番の味方は?これ以上ないってぐらいの最強の味方は誰だと思ってんのよ?
透弥様のお心を手に入れて於いて泣き言言ってんじゃないわよ!
アンタのちっちゃな気持ち一つも受け止め切れない程透弥様は度量の狭いお方じゃないってのよ!」

意思を反して止めどなく溢れ出る涙を鉄ちゃんは言葉とは裏腹な、優しい手で拭き取ってくれる。

「それでも気になるのなら誰にも文句言わせないぐらいがむしゃらに頑張りなさい!
精一杯…一生懸命に何かを頑張る人間を馬鹿にする奴ってのはね、可哀想な人間なんだから反対に、可哀想にぐらい言ってやりな!」

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