不器用なLOVER
人の気も知らないでさ。

三人に背を向けて教室を出る。

「大体透弥さんのこと誤解してるんだよね…」

そりゃ確に透弥さんは手が早い部類に入るのかもしれないけど…。

私のこと何度も助けてくれたし。
優しくて暖かい人なんだよね?

「私は透弥さんの何を知ってるんだろう?ホントは何も知らないんじゃないかな?」

急に立ち止まった私の背中に衝撃を感じる。

「痛って」

振り返れば、頭一つ分以上高い人が胸を摩っていた。

「あっ、ごめんなさい」

慌てて頭を下げれば。

「気にしなくていいよ?
だけど、何をそんなに真剣に悩んでたの?」

人の良さそうな笑顔を見せた。

「いえ…別に」

初対面のその人は鼻筋が通りくっきりとした二重に、作り過ぎない自然に整った眉が女性受けしそうな爽やかな印象だった。

「透弥って宮原透弥だよね?」

ヤバっ私また声に出してた?
急いで口を覆ってももう遅い。

「んで、透弥の何を知りたいの?晶ちゃん」

なっ何で私の名前知ってるの?

一歩ずつ後退していく足と前進する足の距離が縮まらない。

だっ誰なのコイツ

そんなことはないと思っても体が自然にあの恐怖を思い出す。

踵を返すと一目散に走り出した。

「あっ、ちょっと待てって…」

そんな声に耳も貸すはずもなく。

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