関羽
序章「関羽」

後漢末期。それは、悠久なる中国の歴史の中でも一二を争う程に荒廃した時代だった。

立て続けに幼帝が即位した事により皇帝の権威は衰え、政治は腐敗し、人々は明日をも知らぬ毎日を送る、まさに世紀末。


そんな世において、己れの武と、信ずる者への義を貫いた男がいた。

男の名は関羽。


本場の中国人は言うに及ばず、日本人でも誰もが名前ぐらいは知っているであろうこの男こそ、激動の後漢末に生き、名にし負う三国志の物語に深くその名を刻む英雄である。

この物語は、戦う事を忘れた現代の日本人に贈る、壮絶なる英雄の物語である。
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