君の声、僕の歌姫
『まあ、金銭面を考えればあっちの方が金は持っているな』


フェネルはラウトに話しかけました。

姿形もない相手なので、ラウトはどの方向を向いて話して良いのか分かりませんでした。


「まあ、そうだけど……」
『怪力ナイフと札使いと共に行動するのも、悪くはないぞ。
お前1人よりかは何十倍の力にもなるからな』


その言葉を最後にフェネルからの声は聞こえなくなりました。

何十倍もの力になると言う言葉を心の中で何度も繰り返し、

そして納得しました。1人ではきっと死んでしまう、と。


(あ、スティーとの秘密をどうやって知ったか聞くの忘れた)


そんなもやもやを残しながらも、新たな仲間が出来た事に喜びを感じるラウトでした。

その日の夕焼け空はとても鮮やかな橙だったそうです。
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