君の声、僕の歌姫
ローゼはまるで母親のように優しくスティーに言いました。


「歌えないのが苦しいって言う痛み、悪いけど私には分からない。
でもラウトをあの時失いかけた痛みと似ているならば、分かるよ。
辛いよね。苦しいよね……私もそうだったよ」


そしてそっとスティーを抱き締めました。

スティーは思いました。自分の声が失われるよりも、

ラウトを失う方の痛みが大きいと言う事を。それを口にしたくても出来ませんでした。


(あったかいなぁ……)


複雑な気分の中ではありましたが、今はそれを忘れようとしました。

しかしそれは長く続きませんでした。2人の目の前に突然神父が現れたのです。
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