王子様は夢の中---いいえ、違うの---
「ねぇ、千晃。」
「なによ…」
「俺、夢の中の王子様より、
いい彼氏だろ?」
「うん。まあね…」
大河がガバッとあたしに抱きつく。
「ちょっ!!」
「俺だけ見て。もう、思い出さないで。」
「もう……
そんなん、映画館の中で忘れたっつの!!」
本当だから。
信じて。
「………愛してる」
目の前の王子様は、真っ赤になってしまった。
「……お前、
俺のセリフを取るなよ!!」
そう言って、
あたし達はまた、
結ばれた。