もしも。
◆もしも私が◆
もしも私が貴方のように美しかったのなら、上手く利用して遊んでいたでしょう。


「ねぇ、桜井さん」


甘ったるい声で囁く貴方を横目に私はパソコンで文章を打ち込んでいる。

「何ですか?」

「今日さぁ、ヒマ?」

ヒマじゃない。


なんて答えたら、この男はどんな顔をするだろうか。


「…」

「飲みに行こうよ」

耳元で囁く声と、女のような笑顔で私を誘う。

同じ会社で働く、沢水彰。26歳。

私は、桜井美和子。24歳。

「じゃあ、行こうね♪」

まだ行くとは言ってないけど。
勝手すぎる沢水は、仕事に戻った。

私はため息をついてパソコンとにらめっこ。


もしも…もしも私が貴方のように色んな人に愛されるのならば私は努力という面倒なものにぶつかってでも愛されようとするでしょう。


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