ボーダーライン

 約三分後、真紀はラフな服に着替えて脱衣所を出てきた。

「お前な、バスタオル一枚でフラフラするなよ」

 俺が指摘すると真紀はバスタオルを干しながら言った。

「何? ドキドキしちゃった?」

「はっ、バカか。お前のポロリなんて見たくねえし」

 売り言葉に買い言葉。

 すると真紀は俺の前に立ちはだかり、細い腕を俺の首に絡ませた。

 当然俺の心は騒然。

「あら残念。良平になら見せても良いって思ってたのに」

 色っぽい顔をして言う真紀。

 わかってる。

 わかってるんだ。

 からかっているだけだって。

 それでも不可抗力で固まってしまう俺を、彼女は声を上げて笑った。


< 23 / 82 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop