私の夫は王になれない俺様
「口の軽い男だ」

俺がぼそっと呟くと、イサンがくすっと笑う

「軽い口にさせたのは、誰です?」

「欲望に弱すぎる」

「そりゃあ、滅多に手にすることのできない金貨が足もとに落ちてきたら…
欲しくなるでしょう?」

俺の城の執事だったら、明日にはもう命はないな

あんな口の軽い男に用はない

俺の大切な城を任せたいとは思わない

「さて、と
東の塔に行きますか?」

イサンが、俺の肩に手を置いた

「ああ、そのために来た」

「楽しみですねえ
誰が、参加しているのか…」

「ジョン・カミンの支持者か?」

「ええ、顔を早く見たい」

イサンがにこっと笑った

嬉しそうに、懐に隠してある剣の刃を見てからイサンが顔をあげた

「護身用に持っていくだけだぞ」

「わかってますよ」

武器は持ってないということになっているんだ

…というか

武器はすべて、ダグラス城に預けたってことになってるんだから・・・

短剣を持っているなんて知られたら、俺らの信用はがた落ちだ
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