三日月の雫
小さな赤い石のついた指輪をかんなが僕に見せる。
お揃いの指輪。
何となく、重みのあるプレゼントだ。
「…指輪なんて、オレしないし」
「えー、でも、いいじゃない」
「他のものにしよう」
「でもあたし、指輪が欲しい!」
かんなは子供のように駄々をこねた。
僕がどんなに他のものを要求しても、かんなは『指輪』から一歩も引かないだろう。
「じゃあ、かんなは指輪にするといいよ」
「永ちゃん!プレゼントしてくれるの?」
「うん。好きなのを選んでいいよ」
「やったー!」
複雑な気分だった。