三日月の雫

・縮まる距離・


離れた席で、僕はウーロン茶、彼女は生ビールを次々に飲み干す。

彼女はジョッキをすでに五杯飲み干し、さっき頼んだばかりの六杯目がもうすぐ空になろうとしていた。



……大丈夫なのか?

目の焦点が合ってないぞ。



彼女の隣に座るバイトの男が、酔いに任せて肩を抱くけれど、彼女はただ流れに身を任せているような感じで振り払おうともしない。


……て言うか、振り払うぐらいしろよ。


そんな嫉妬をする自分が大人気ないと、ふと思う。



「結崎さんは、柚羽の隣ー!」



そう言って肩をポンポンと叩く柳さんの声で、僕は我に返った。

何が起きているのか、状況に乗り遅れた僕を柳さんは強引に立たせる。

そして、彼女の隣の席に座らせた。


沢井さんは目の焦点が合っていなかった。

あの日とは違い、ニコニコしながら僕の顔をじっと見た。

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