三日月の雫
部屋に入ると、そこに、彼女がいた――。



「こんばんは」



僕の方を見ようともしない柚羽に声をかける。

うつむいていた柚羽がゆっくりと顔を上げ、僕を真っ直ぐに見た。



「こん……」

「こんばんはー!結崎さぁん。村岡、酔ってまーす!」



村岡が酔っ払っていることを自己申告しながら、柚羽の前に立ちはだかった。



「主役が来る前に酔っ払ってどうすんのよ!」



僕に絡もうとする村岡を柳さんが力ずくで引き離し、一発殴る。



「ってー…。あー、なんか、俺もう無理っすわ」

「はぁ?何言ってんのよ!」

「飲みすぎた……。気持ち悪いのと眠いのがグチャグチャで……」

「もう、最低!」

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