ラビリンスの回廊


ずしゃり、と足元で石が音を立てる。


ゴロゴロとした岩を踏み締め、玲奈は必死に前について歩いた。


傾斜はゆるやかで、ついて行けない程ではないが、山登りどころか山歩きすらしたことがない玲奈。

たちまち息があがる。

それでも負けん気を発揮し、口をつぐみ肩で息をしながら歩いていた。


ただ、男の体力に敵うはずもなく。
着膨れていることで、より一層足が重くなる。

少しずつ、皆との距離が開きつつあった。


エマはというと、厚着も歩きにくい地面もなんということもなさそうで。


涼しい顔で歩いているのが、短気な玲奈のシャクに触っていた。


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