呪いの動画
「ひゃ…っ」

 窓に、血の手形が付いている。全面を…埋め尽くす程、大量の。

 声がでない…腰が抜けた…動けない……、怖い。
だって、『ミサキさん』ってあの岬の自縛霊でしょ?私の部屋、山側向きなのに…!

 違うでしょ?ねぇ…っ

 聞いてみたって、答えなんか返って来ないのに、気付いたら心の中から問い掛けてみた。
やっぱり、返事なんか返ってこない。

「ねえちゃん、どうしたの?」

 代わりに、私が尻餅をついた音を聞き付けたらしい弟が、声を掛けてきた。

「あれ…」

 助けを求める様に、そちらを向きながら血まみれになっている窓を指差した。

「窓が、どうかしたの?」

 その言葉に、驚いた。「どうかしたのって、アンタねぇ!」と叫びながら振り返ると、窓は綺麗になっていた。

「あれ?」

「寝ぼけてたんじゃないの?あ、俺出掛けるよ。昼は作ったの冷蔵庫入れてあるってさ」

 わたしはただ、閉まった扉を見つめる事しか出来なかった。

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