やさぐれ妊婦

翌週の土曜、健診の帰りに高校時代の友人の家へお邪魔した。

先々月まで他府県にいたが旦那さんの転勤でこちらへ引っ越してきたのだ。

友人のところは子どもが一人いて、もうすぐ三歳になるという。

久しぶりの旧友との再会。

今回が初産になる私は色々な話も聞けるかな?と楽しみにしていたのだが――

「あーあ。子どもが預けられないんじゃ就職活動だって出来やしないよ……」

いきなり聞かされたのは愚痴だった。

聞けば、市役所で「“求職中”じゃ保育園に入れるのは絶対に無理」と言われたとか。

「そりゃあ、求職中じゃあ無理でしょ」

だって、夫婦とも外勤で市内に頼れる祖父母がいなくたって厳しいのに。

このとき――

私は疲れていたのかもしれない。

愚痴りたいのは私だったのかもしれない。

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