星屑
結局連れて来られた場所は、ラブホテルの一室だった。


勇介が何を考えているのかわからない以前に、白昼に、しかも制服でこんな場所に入るだなんて、人に見られていたら大変なことになるけど。


でも、もうどうだって良いのかもしれない。


第一別に、彼とする行為に今更抵抗はないのだし。



「奈々、とりあえず風邪引くからシャワー浴びて。」


最初のあの日と同じ台詞だ。



「放っといてよ。」


「でも、服乾かさなきゃ。」


いくら霧雨だったとはいえ、あんな中を歩いていたので、確かにあたしの制服は、僅かに下着が透けてしまっているけど。


勇介は、湿ったあたしの髪の毛をそっと掬い上げた。



「とりあえず体温めてからだよ、話は。」


それとも一緒に入る?


冗談交じりのそんな言葉に唇を噛み締め、あたしはひとり、お風呂場へと向かった。


雨露に濡れた制服を脱ぎ、シャワーの熱いお湯をかける。


頭の中には、先ほどの大地くんの言葉ばかりが廻り、また悔しくなった。


かじかむ体の端々がぴりぴりとした痛みを放ち、また泣きそうになる。


普段溜め込んでいるものが一気に溢れるような感覚に陥り、歯止めが利かなくなりそうで怖い。

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