星屑
夜になり、暇を持て余しあたしは、ふらふらと街までやってきた。


ちなみにママは、今日もお出掛け。


いつもなら、ママの知り合いが営むバーに行くことが多いのだが、今日ばかりはそんな気分にもなれない感じ。


どこからともなく聞こえる流行りの音楽、行き交う人々はみな、揃って胡散臭そうだ。


チュッパを咥えながら目的もなくただ歩いていると、声を掛けてくるのはやはり、軽薄そうなやつらばかり。


そんなにあたしの頭が軽そうに見えるのか、それともすぐにヤれるとでも思っているのか。


見上げた真っ黒い空は、ネオンの色に滲んでいた。


月明かりさえ届くこともなく、この場所は華やいでいる。


閉店した店のシャッターに背を預けるように佇みながら、つまんないな、と思った。


あたしは自分自身の満たし方を知らない。


だからいつも、大して好きでもない男と付き合い、満たされた気分を味わうのだ。



「お姉さん、何やってんの?」


「アンタに声掛けられてる。」


顔も見ずに返すと、そりゃそうだ、と男はケラケラと笑っていた。


まったく、どいつもこいつもロクなモンじゃないなと思いながら、肩をすくめずにはいられない。


あたしは樹里みたく美人でもなければ、沙雪みたくギャルでもないはずなのに。



「アンタってここに立ってたら誰にでも声掛けてんの?」


「いや、可愛い子限定。」


「なら、あたしに声掛けないでよね。」


心底面倒くさくなってあたしは、そのまま立ち去った。


虚しいから街に来るのに、なのに来てみれば虚しさは増すばかりだ。

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