年下カレシに蜜な罠
◆14*Honey



凜久の左手に、少し強引に上を向かされて……


そのまま口付けられてしまった。




「……んっ」

口の中に流れ込む、わずかに冷たい水と、小さな固形物。






――『やっぱり、飲めないよぉ』

まだ、小学校2年生の頃。


風邪を引いて学校を休んだ私は何度も挑戦するんだけど


口に残る、異物感。

すぐに飲み込めずに、しばらくモタモタしてると

錠剤が溶けて口に広がる、独特の苦み。


それがどうしてもダメで……。




――『今まで飲んでた液体タイプの方がいい』

――『それは、もっと小さい子用のなのよ……瑠璃はもう小学生でしょ?』


液体タイプのものは、イチゴ味とかメロン味とかあったんだよね。

それを言ったら、先生に笑われちゃったのを今でも覚えてる。


――『瑠璃ちゃんは珍しいな』

こっちのタイプを嫌う子の方が多いんだよ?って。



今思えば、あれが始まりだったのかな――。


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