鬼憑き
三章
司令室という場所をわかっていないのか、自分達なら許されるという自信があるのか、これでもかというくらい激しくドアを開いて――もちろんノックなどしていない――執務机に座る司令官を睨み付けた。開ける方が開ける方なら、開けられる方も開けられる方といったところか。ドアの破壊的な音には一切反応せずに目の動きだけで二人を確認すると、手元の書類を片付けてからようやく顔を上げた


「遅かったな」

「遅いも何もあるか」


間髪入れずに返したのは秀樹で、いつもなら我先にと突っかかっていきそうな武人は不満そうな顔をするだけ。あまりにいつもと違うが、慣れてしまっているレティはさして気にした風もない


「先ほど、ここから10kmの地点で鬼憑きが確認された」

「・・結構近いな」

「戦闘用能力を有していないと思われたため、戦闘員二組を投入。2km離れた廃屋にまで追い詰めたらしい」

「らしいって・・」

珍しく歯切れの悪いレティ。表情を若干曇らせて続けた

「・・・5分ほど前、増援を依頼する通信を最後に連絡が取れなくなっている」

「つーことは・・」

「・・・・・殺られた、な」


しばしの沈黙。レティはため息と共に立ち上がると、いつものように強い視線を二人に向けた

「任務内容は戦闘員二組の安否確認、鬼憑きの捜索、能力調査と討伐。優先順位は言った通りだ。廃墟への地図は通信機に転送。異論は?」

「別にないっすよ」

秀樹も頷いて答える

「・・なら以上だ。早速行ってくれ」

レティはせを向けて出ていく二人を目だけで送り、一人の部屋にまたため息が零れた

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