愛へ
「あたし、バイトしないと金ないんだけど」

「駄目。バイトはするな」


意味が、分からない。

どうして、あたしが、こんないきなりやってきた人間のために自分の欲を抑えなければいけないんだ。

そう言うと、藤堂誠は、お前は強欲すぎる、と言った。

オレ様なお前に言われたくない、とあたしは思ったけど、言うのはやめた。

こいつに何か言うのは無駄なのは分かっている。

内緒にすればいいだけの話だ。

あたしは藤堂誠と関わっているのが面倒くさかったから、適当に相槌を打って、その条件を飲んだ。


援助交際なんて、やってなんぼだ。

せっかく女の子に生まれたんだから、着飾らないのは勿体無い。

華やかに過ごすのが女の子ってもんでしょ。

だから、色んなものが欲しい。

じぶんをかわいくするためには、何だってする。

だって、一度しかない人生、楽しまなきゃ損。

周りからの視線なんか気にしていたら意味がない。

そうでしょ?

周りは周り、あたしはあたし、なんだから。

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