HAPPY!!

引っ越し


「木内、今日一緒に帰ろ。」


帰る方向は真逆でも、一緒に帰るのがお互いの日課。


「ああ、いいよ。」

「どうしたの?お疲れ気味だね。」


目の下にくまが出来ている木内に向かってそう言うと、


「オレ、引っ越すからさ」


と衝撃の一言を発した。

あたしは一瞬あたまがフリーズしたように思った。


「引っ越す?」

「ああ」


うそだ、そんなの信じない。

せっかく付き合えることになったのに、お別れなんて信じない。


「嘘でしょ?!どこに?」

「中央図書館の近く」


市内からは出ないというのは不幸中の幸いなのだろうか。


「学区域違うじゃん」


もう、学校で話したりはできないってこと?


「お前に言うの遅くなっちゃって、ごめんな」

「バカッ!!木内のバカ!」

「何だよそれ」

あたしは、泣きながら教室を走り去った。
< 46 / 52 >

この作品をシェア

pagetop