恋時雨~恋、ときどき、涙~
しおりさんが、何かを言っている。


でも、わたしはとっさに首を傾げてしまった。


しおりさんの唇の動きが速すぎて、わたしには理解できなかったのだ。


そんなわたしを見て、不思議に思ったのだろう。


しおりさんがへんな顔をした。


その時、わたしとしおりさんの間に順也が入ってきた。


しおりさんに何かを説明しているようだ。


しおりさんの穏やかだった表情がひきつって行くのが分かった。


わたしは、うつ向いた。


しおりさんはわたしの肩を叩いて、もう一度、言った。


「ごめんね。私、分からなくて」


しおりさんの唇の動きがゆったりだったので、今度は読み取ることができた。


わたしは、首を振って微笑んだ。


順也が、わたしの耳の事を教えたのだろう。


しおりさんも微笑みを返してくれた。






< 18 / 1,091 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop