恋時雨~恋、ときどき、涙~

白木蓮のようなひと

突然のことに、さすがに驚いた。


健ちゃんはこの1週間のうちに実家を出て、一人暮らしを始めていたのだ。


しかも、わたしの家から5分もかからない新築のアパートに。


健ちゃんと付き合ってから、こんな事はたびたびあった。


驚かされる。


健ちゃんは、突然、何も言わずにわたしの家に来たりする。


いつも、驚かされる。


そして、大事なことをあっけらかんとして言うのだから、本当にびっくりする。


なぜ、急に一人暮らしを始めたのか訊いてみると、


「すぐ、真央に会える位置にいたいから」


と健ちゃんは言ってくれた。


わたしは、天にも昇る思いだった。


大好きな人が近くに住んでいる。


会いたい時は、すぐに会える。


そんな関係が、この先もずっと続くのだとわたしは浮かれていた。


しかし、それこそが変化だったことに、わたしは気付きもしなかった。


わたしたちの関係に変化が訪れ始めたのは、それからすぐの事だった。


その日は、初雪が降った。


白い砂のような細雪だった。


その日、わたしは朝から健ちゃんのアパートに来ていた。


それにしても、わたしは疑問だった。



< 325 / 1,091 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop