冬の華
《初めはな…。
タイムリミッドが近付く焦りと苛立ちに執念だけが一人歩きを始め…或は本気で女を道連れにしていたかもしれん》

そうなのか?
あんなに彼女を思う…
真っ直ぐな感情が…。

《お前の気は暖かい。
その気に触れ本来の意思を
呼び醒ますことになった》

俺の肩で震える彼女を、
安心させたかった。

確に男の思いは伝わったはず…。

だが今尚震える彼女は、
確実に男に怯えてる。

「好きなだけ居ていいから…。
此処には君を脅かすモノは何一つ存在しない」

気付けば彼女を抱く肩に、
力が入ってた。

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