神様・俺様・速人様


頭が熱い…

ボーとする。

頭に置かれた手から熱が広がるみたい…

火照る頬に、冷たい手。



わかった…あたし

この気持ちの正体。


「何やってんだ!」

『へ?』

思ったときには遅かった。あたしは、誰かに手を引かれ狭い部屋に入れられた。

もしかして…………

襲われる!?

暗くて相手の顔が見えない。

うそ!
あたしの初めて…

ここで?


てか知らない人!?


そんなのやだー!!!!!

「お前はアホかーッッ!!!!!!!」

怒鳴り声があたしの鼓膜に響く。

……………この声…

「あれだけ、男子寮には来るなって言っただろが!」

はや……………と


『はや………と?』

「ああ?そうだよ」

不機嫌なこの低い声は確かに速人だ…

『ごめ………』

「謝んのはいいから、早く出ていけ。」

『わかった…………』

「………何でここにいるんだ?」

『直哉と帰ってきたの…』

暗がりで速人の顔は見えない。


「直哉と?」


『毎日、直哉と…』


「男子寮と女子寮玄関口まででいいだろうが………」

『それじゃいやなの!!』
何故か声を荒げた。

『それじゃ………直哉に会える時間が少なくなるじゃない。』

「…………お前」

『わかってる!』

「わかって無いだろ」

『そんなこと………』

「お前…直哉が好きなんだな?」

その言葉…
まさか速人に言われると思ってなかった…


ナオヤガスキ

そう。スキ

だから一緒にいたいの…


あたしが黙ると速人はため息をついた。

「お前のために、唇にキスしてないんだぞ………」

そう。あの日確かに唇は触れた。

でも唇にじゃない。

少しとなりの頬っぺたに。
「いいから…生徒どっかいったから、行けよ」


『わかった…』

あたしはその部屋を出た。

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