終局の狭間で、キミと。
屋上にて

「…………死、かぁ」

昼休みの屋上で、ひとり呟く。

イマイチ、実感沸かないんだよね。


あと数ヶ月で人類がすべていなくなる、だなんて事。


あの世界恐慌が起こる前には頑丈に鍵が施錠されていた屋上も、あの日から開放してある。

鍵をかける余裕さえ、なくなってしまったのだろうか。


学校も、あと数日したら休校となる。

二度と解かれることはない、休校。


私は、あの恐慌で両親をなくしたから帰るところもない。

家に帰っても、もう誰もいないんだ。





鉄製の柵にしがみついて校庭を見下ろす。

今、こんな時期に呑気に遊んでる奴は当然いなくて、校庭はいつもの騒々しさを失っていた。
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