◆太陽のごとくあいつは◆



『わたし、菅野晶螺くんとは東京での公式トーナメント以来、ずっとペアを組んでました。
東京ミキアートの足尾麻美といいます。15歳です。
どうぞ"よろしく"。』


澄ました顔をして、言葉のあちこちに力が入っていた。




ぁぁ、じゃぁこの子かぁ、アキちゃんの前パートナーは。


ぇ、ってことはこの子選手!?
東京ミキアートって…一流ぢゃん…!

信じらんない…



心の叫びを必死に隠す美夏。



『麻美ちゃん、今日あのコーチは?』


晶螺が麻美に近づいて言った。




『ぁ、晶螺くん久しぶり!今日わたし一人できたのー♪』



麻美は声色を変えて、可愛く答える。


内心、美夏は"ぐへぇ、ブリッ子…"と思った。

でもすぐに麻美が自分の方に向き直ったので、ひきつる顔をパっと戻した。




『ねェ、わたし超楽しみにしてたんです。
晶螺くんがわたしとペア組まずに、幼なじみのオネエサンとこの合宿の大会に出場するって聞いたんで。』



『…はぁ…。?』


美夏はただ首をかしげるしかない。


何が言いたいのだろう、この子は。



『で、じゃーぁよっぽど才能のある超素敵な人なんだろうなァ~って』




麻美は少し美夏をバカにした感じで、クスクスと笑いながら言った。


なっ…、何だ!何だよぉっ、このチャラ子はいったい~!!!



美夏は今度こそ顔のひきつりを隠せないかと思うぐらいだった…



< 32 / 146 >

この作品をシェア

pagetop