聖夜の約束
レイは卵がゆを作った。


「おいしい・・・」


(自分でもこんなに上手に作れるかどうか・・・)



「夏姫さんに喜んでもらえてうれしいよ」


きれいな笑みを浮かべる。



「レイくん・・・おうちに問題があるの?」


なぜ家に帰りたがらないのだろうかと考える。



「まあね」


レイが言葉をにごす。



(暗い顔になった・・話したくないんだ・・)


夏姫は心の中でため息を吐いた。


(嫌な事は聞いたらだめだよね)



夏姫は親に捨てられて孤児院や里親で育った為、人の心に敏感だった。


だからあまり人とかかわらないように過ごしていた。


唯一、惹かれたのが営業二課の長谷川だった。


不意に長谷川の事を思い出して気持ちが沈んだ。



(長谷川さんと鳥居さん、すごく仲が良かった・・・)



「どうしたの?気分悪くなった?」


黙り込んでしまった夏姫の顔を覗き込む。


顔を覗き込まれて珍しい青墨色の瞳と会う。


「う、ううん」


「会社に電話したら眠った方がいいよ」


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