ヤンデレ彼氏様
あたしの憂鬱は、家を出る瞬間から始まる。

「行ってきまー…」

「おはよう、梨杏(りな)」

出た!!
扉を開けた瞬間に出た!!

「おはよう。いつも迎えに来てくれなくても良いんだよ?」

っていうか来るな!!
通学時くらいゆっくりさせて!!

あたしの笑顔はひきつっていることだろう。
それでも、彼氏様は気にすることなく私の肩を抱く。

「ちょっと!!お父さん達に見られたらどうするの!?」

場所を弁えず、家の前でもベタベタ触れてくるから嫌だ。

「別にいいよ。いつか結婚するんだし、挨拶は早くしておきたいし」

「……結婚って誰が?」

「梨杏と俺に決まってるじゃん!」

眩しすぎる笑顔の彼氏様。
結婚なんてしちゃった日には、四六時中落ち着かないことだろう……。

「あたし達まだ高校生だよ?結婚なんて早すぎるよ!」

はぐらかすことにする。

考え直せ!考え直してください、彼氏様!!

内心は必死だった……。
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