=凪=
「ん?」


包みを受け取った先輩の顔は、少しにやけていた。



でも身体は、少し震えていた。


「早く着てください」

先輩は、おぅと答えた。


「風邪、引かないでくださいね」



「ハ、ハクション!」

先輩は、くしゃみをしながら上着と、包みを持って、帰っていった。


尾沼さんのこと、クルミのこと……



今夜は、あれこれ考えることが多そうだ。



でも、海も見られたし、水族館も楽しかったなぁ。



これでまた、しばらくは頑張れそう。



寒い思いまでして、連れていってくれた先輩に感謝だね。



とてもすっきりした夜空に、星がひとつ光った。



第10章『−風の中で−』おわり


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