ブラッディ アリス
車はようやく隣町ハルザンヌにたどり着いた。
カイルはさりげなく「ベルアベスタ家に行って」と運転手に伝える。
「ホントにこの車で行くのね…」
「僕らが遊んだって誰も何も言えないよ」
王家の力で不祥事をもみ消せるカイルと、すでに両親は亡く全て当主である自らに責任がかかるアリスは違う…。
今さらながらラビがいないことに不安を覚えたアリスは、鞄からケータイを取り出した。
…着信もメールも…無し。
「ラビはまだナナリの相手をしてるのかしら…」
その言葉にカイルは「ふっ」と鼻で笑った。
「もう遅いよ…アリス。今回はラビ抜きで楽しもう」
「…ふん…」
ハルザンヌのケトビア通りをゆっくり走っていく王家の車。
路上を歩く人々が興味深そうに車を目で追っていく。
「…処刑は…ストレイズ殿広場でやるのかしら…」
「そうだよ。まぁ…公開処刑にする意味がよくわからないけど」
「…」
車はケトビア通りを抜け、木々に囲まれた坂道を登っていく。
もうそろそろ月と交代の時間を迎える太陽が眩しく照らす中、アリスとカイルは静かに準備を始めた。
シャルル夫人の公開処刑…。
その背景にベルアベスタ家当主は何を考えているのか…。
そして…一人娘は今どうしているのか…。