ブラッディ アリス




会場は…いくつものシャンデリアや装飾で飾られ、淡い光に包まれていた。

各国の貴族代表が集う室内は、異様な緊張感が滲み出ている。

広くて円形のテーブルには真っ白なテーブルクロスが敷かれ、すでに水の入ったワイングラス、高価そうな皿、スプーン、フォーク、ナイフ…それぞれ人数分用意されていた。


会場内に入ったアリスは一礼をする。

そんなアリスに笑顔を返す者もいれば、一瞬チラッと確認しただけで挨拶すらしない者もいる。


席に着いたアリスは、貴族界トップに君臨する世界で名高い面々を一人一人見ていた。


テーブルの座席順は、その人格の立場や位など関係なく国が発展した順番で…一から順に時計のように座る。


現在世界でも産業水準が総合的に1位と謳われていて、この世界で初めて国とし建立したと言われている…工業国カプリコルン…。

その国の貴族代表を務める、アンディビッヒ・ド・スティルバロ…45歳。
愛妻家で、三人の子を持つ彼は、10年前当主に就任。
先代の意を受け継ぐように、財政面では非常に厳しく、貴族のスキャンダルなんて以ての外…。
頑固で偉そうで、16歳という若さで就任したアリスを断固として認めずにいる。
もともとアリスの父ウィンとも仲が悪かったらしいので、その面でもアベル家を敵視している所があった。


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