ブラッディ アリス
フォルチュナが治めるイヴ家は、貴族界で3番目に成り立った貴族と言われている。
国土の3分の2を森林が占めるスコルピオ国で、イヴ家は林業及び施業を主に運営。
天然物保護支援、生物学や植物学研究なども行う…古来より自然を愛する一族だった。
その他にも世界一のウェディングプランニング会社を経営し、世界各国にブライダル専門のホテルや教会を所持している。
農業を営むアベル家と林業を営むイヴ家は、昔から深い関係があった。
アリスの父ウィンは生前、フォルチュナをとても可愛がっていて、ウィッシュに負けないくらいフォルチュナと仲が良かったらしい。
そんな二人をそばで見ていたウィッシュは…一体どんな心境だったのだろう…。
「…まさか…ね…」
アリスはそう呟くと、ゾディアック最後の一人、サジタリウス国貴族代表カルサ・レイオブ・ラピスラズリに目を向ける。
ラピスラズリ家の跡取り息子として育てられていた彼は、かなり賢いが気が弱く、まだまだ就任は先…と見られていた。
しかし、先代が突然精神的な病に陥り、やむなく21歳で就任。
なんとかラピスラズリ家誇る自動車産業を維持し、世界最大級の自動車メーカー「タンザナイト」を経営している。
まるで女の子のような綺麗な顔立ちをしているカルサは、隣に座るアンディビッヒに怯えている様子…。
「ホント…情けないわ…」
アリスは呆れたように呟くと、カルサから目を離した。