ブラッディ アリス


「…アリスらしいね」


思い返せば、5年前のあの事件は悲惨なものだった。


テレビでも放映されていたが…その映像は大の大人でも目をおうような光景…。

ラソエラ家自慢の噴水は真っ赤に染まり、噴水の中には数人のメイドの死体。

白い外壁にも血。
テラスにも血。

そして屋敷の中も…赤一色。


未だに犯人が不明なあの事件は、ベルアベスタ家の名を聞けば誰もが思い出してしまうだろう…。


そして明日…唯一ラソエラ家の血を引くシャルル・コクト・ナ・ラソエラが処刑される…。

もちろんマスコミは大々的にこの件を取り上げ、ここぞとばかりに5年前の事件を掘り返した。


窓から外を覗けば…木陰に隠れた多数のマスコミが見える…。


「きっと…明日の朝刊には私たちも載るわよ。この屋敷に入るとこ、ばっちり撮られてたしね…」

「…堂々としてれば問題ないよ」


自由な王子様は…マスコミなど興味がない。

「ホントに腹が立つわ。カイルのそういうとこ」

「ふふ…。マスコミが怖いのかい?アリス」

「…怖くなんか…」



怖くなんかない。

だけど全てがバレたら終わり…。


そんなスリルさがまた、アリスにとっては快感だった…。




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