ブラッディ アリス

ⅩⅤ



寮舎ミルフィーユの朝は、起きた人から順番に朝食をとっていく。


アンジェラとカルマの部屋から恥ずかしそうに出てきたノーカに全員驚いてはいたが、とくに誰も触れることなく…それぞれほとんど無言で身支度をしていた。


「…じゃあ、行ってくるよ」

…午前9時…。

タウティとクレスタは新入りの4人を連れて、寮舎を後にした。



「…ザリチェ、私…散歩してくるわ」

カイルを見送ったアリスは、さっそく行動を始める。

「…遠くまで…行く?」

アリスの正体を知っているザリチェは、心配そうな表情を浮かべる。

「まだ行かないわ。お昼には戻るから」

「あ!…一応…懐中時計…貸すから…」

ザリチェはエプロンの大きなポケットから銀色の懐中時計を出すと、少し強引にアリスに渡した。

「…ありがと…。借りるわね」

アリスは微笑むと、懐中時計をぎゅっと握り締め、歩き出した。



< 351 / 657 >

この作品をシェア

pagetop