ブラッディ アリス
ⅩⅩⅩⅡ
『お菓子の家』で起こった大規模な火災…。
次の日にはサジタリウス国全土…そして国外の一部の主要都市に大きく報道された。
施設にいた子どもたちは全て、表向き火災によって死亡したことになったが…。
「…ちょっと無理があったんじゃない?…あの程度の火災で、約700人の子どもが焼死したなんて…」
「……でも…仕方ないんです…カイル王子…。リリス家が関わっているなんて公表したら…全世界がパニック状態になる…」
「…まぁ…ね…。とくにこの国は…オフィユクスに近いし…。混乱は避けられないだろうね」
大きくて真っ白なベッドの端に座り、新聞を見ながらコーヒーを飲むカイル…。
そのベッドの真ん中には、正門を開けてから目覚めていないアリスが眠っていた。
「…とりあえず……私は下に戻ります。…ゾディアックの数名が来る予定なので…」
「…わかった…。…しばらく僕はアリスをみてるよ…」
「………アリスに変なことしないでくださいよ…。…王子…」
「…わかってますよ…。ご安心ください。カルサ様」
しぶしぶ部屋を出て行くカルサを横目に、ニヤリと笑ったカイル王子。
「…これ以上やっちゃうと…本気で殺されかねないからね…」