ブラッディ アリス




「お久しぶりですわ。…リリス家当主…コキア様…」




カーネーションに招かれて、アリスはオフィユクス城へと足を踏み入れた…。


王座で待ち構えていたのは、床まで伸びた長い金髪を持つ若く美しい女当主…コキア・リリス。



「元気そうだな、アリス嬢。…悪魔共が久しぶりの高貴な血に喜んでいる…」


「…歓迎していただけてるの?……光栄ですわ…」


アリスは余裕な素振りで微笑み、用意された一人がけのソファーに腰かける。




「失礼します」


アリスが座った瞬間、大きな扉が開き…小さな少年が現れた。

少年は鎖でつながれた傷だらけの全裸の女性を引きずりながら、赤いカーペットの上を歩く。


「…ふー…ふー…」

全裸の女性は目隠しをされ、口を太い糸で縫われている…。


「…あ…アリス…。…客ってアリスのことだったんだ…」

少年はアリスを横目で見た後、コキアの前に女性を突き出した。


「……アリス嬢は仮にもアベル家の当主ですわよぉ…。ちゃんと挨拶しなさいよぉ」

その場にいたカーネーションが、クスクスと笑いながら少年に近づく。



「…お久しぶりですわね…ハルシオン…。…その女性は誰なんですの…?」







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