ブラッディ アリス


もちろん王家ではカイルの趣味を知らない者はいない。

それ故にカイルは城から少し離れた別館にシンデレラと数名の召し使いと暮らしている。

カイルが殺した数々の女性については、王家の力で解決されているらしい。

ただここ数年続く女性失踪の事件については、さすがに警察も動いているとか…。


「…たまに思うんだけど、カイルってホント自由よね。本来なら城に縛りつけておくものじゃない?」

じっとカイルを見つめながらアリスは言った。

「…言ってなかったっけ?僕は小さい頃から先代の王…お祖父様にだけは可愛がられてたんだ。僕が一番お祖父様に似てたらしくて…」

「それだけで周りは何もできないって言うの?」

カイルの口元がニヤリと微笑む。

「違うよ…。お祖父様が死ぬとき、遺産の半分はそのまま父様に引き継がれた。だけどもう半分は僕が引き継いだのさ。町から少し離れた洞窟…そこにあるんだけど。その洞窟の鍵は僕が持ってる。…そして…」

「そして?」

「そこにあるのは、外部には絶対知られてはいけない…城の秘密がある」


アリスは大きく目を見開き、カイルを見つめた。






< 8 / 657 >

この作品をシェア

pagetop