幸せをあつめて
大人になるのは少し寂しい気がした。
忘れてしまうのは怖かった。

「それでいいじゃない」
先輩はそう言った。

「先輩は怖くないんですか」
「怖いよ。すごく怖い。でもねそれと同じくらい、いや、それよりずっと楽しみのほうが大きいの」
「大人になるのが、ですか」
「うん。だから今はいっぱい悩んで苦しんで、それが当たり前なんだと思うよ」
「はあ‥」

心の底で起こっていることを先輩が全部吐き出してくれた気がした。
気づいたときには重みがなくなっていた。
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