君が君を好きになって。

ライバルなライバル


8/27。

久々の文化祭の準備で菜束たちは教室に集まった。

「おはよ」

「──!おはよう」

久しぶりの碧の顔は何だか真っ直ぐ見れなくて菜束は資料に目を移した。

「何か空の装飾で教室統一するらしいよ」

「そっか。じゃあ…空だね」

「小玲スケッチブック持ってない?」

「あ、教室にならあるよ。取ってくるね」

ガタン








菜束は自分の教室、6組に入った。
スケッチブックをロッカーから取り出して、教室のドアをまた開けた時。

「あ、小玲さんだ」

「えっと…あ、一条…さん」

一条千幸。
彼女は菜束に向けて可愛らしく微笑んだ。

「わ、名前知ってたの?…良かった。私ね、小玲さんのことずーっと探してたから」

「え?」




「ちょっとお話しない?」






菜束は千幸と水道の前に立った。

二人を無表情な鏡が映している。


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