【完全版】HIDE&SEEK-心と心のかくれんぼ-
「…何?私、悪いけど龍太郎と話す余裕ない。」



「そんなこと言うなって。」



龍太郎がデカイ掌で私の背中を叩いた。



「イテテっ!なんだよ。」



「そーそー!そんくらいふてぶてしくないとお前じゃねぇっての?調子狂うじゃんよ。」



多分これは、優しい龍太郎の下手くそな慰め。



だけどその下手くそさが私を温かな気持ちにした。



「ったく。勇将さんにしても気良にしても、世話のやけるカップルだな。」



「ごめん。」



私が謝ると、龍太郎は太陽みたいに明るい笑顔になる。



「だーかーらっ!…まぁ、よ。勇将さんのこと、もう少し信用してやれよ?」



私って単純。



その一言で心が軽くなった。
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