へたれンパイア~バイオレンスな生贄~


驚きからあたしもウェルシーも、食い入るようにそのターコイズグリーンの瞳に見入った。


その二人分の視線を受けても尚、彼は涼しい顔でその口元に少しの微笑を称えたまま淡々と告げる。



「フィアが見たヴァンパイアの死体の山…その伝聞証拠から推測する限り、“同士討ち”の可能性が高いとの結論が出た」


そうハッキリと告げられる声は、人気のない深夜の聖堂にワンワンと響き渡り、微妙な不協和音を立ててあたしの耳に舞い戻ってきた。


「…要は、ヴァンパイア同士で殺し合いをしたって事か…?」

その中に、驚きを隠し切れていないウェルシーのハスキーな声が、混入する。


「実際、目にしたフィアはどう思う?」

その問いを受け、キルバッシュは確かめるようにあたしの視線を探って来た。


だから、あたしはその時の光景をシッカリと目蓋の裏に思い浮かべながら、慎重に言葉をこぼす。



「確かに…あの時見た光景からすると、その可能性は高いように思う。

…けど、それだけでもない」


見つめられる二人の視線を感じながら、あたしは確信に迫る言葉をここに来て始めて口にした。


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