キス魔な彼。
寝起きが最悪なのは、これで何度目だろうか。
オレが目をさましたのは、ケータイの流行らない着信メロディが聞こえたからだった。
体からはアルコールのにおいと女のきつい香水のにおいがした。
ケータイを手にとると相手はやっぱりこいつだった。
「もしもし」
「あ。起きた?どう、目覚めは。」
「最悪」
オレがこう答えたのがよっぽど可笑しかったのかアキラはゲラゲラ笑っている。
「お前、まじヒドイやつ。持ち帰んなら寝るな」
アキラのいつもどうりの口調から思いがけない言葉を聞いた途端。オレの体から血の気が失せた。